隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
「そちらの女性は? 先ほどから噂になっていてな。ゲイソン会長が、美しい女性を同伴させている、と」
「皆、口が早いですな」
ははっとルドルフが声をあげて笑えば、ウォルシュ侯爵もニタリと口元を歪める。
「ゲイソン会長。紹介してくれるのだろう? その美しい女性を」
「もちろんですよ。彼女はクリスティン。東の孤児院にいたところを、娘として私が引き取ったのです。残念ながら私も独り身でしてね。老後のことが不安になりまして」
そこでウォルシュは、はははと豪快に笑い出す。
「そうか。ゲイソン会長でも老後は心配になるのだな。では、一曲、私の相手をしてもらっても良いだろうか?」
裏社交界であっても、ダンスは嗜みのようなもの。ルドルフに促されたアルベティーナは、彼の手を離れてウォルシュ侯爵へと身体を預ける。
「見事な髪だな」
ウォルシュ侯爵はその髪をすくいあげると、まじまじと見つめてくる。
「クリスティン、だったかな?」
「はい」
派手ではない音楽。しっとりとした曲調に合わせ、アルベティーナはウォルシュ侯爵のリードで一曲踊りきる。だが踊っている間も、ルドルフがどこにいるのか、何をしているのかが気になっていた。
「皆、口が早いですな」
ははっとルドルフが声をあげて笑えば、ウォルシュ侯爵もニタリと口元を歪める。
「ゲイソン会長。紹介してくれるのだろう? その美しい女性を」
「もちろんですよ。彼女はクリスティン。東の孤児院にいたところを、娘として私が引き取ったのです。残念ながら私も独り身でしてね。老後のことが不安になりまして」
そこでウォルシュは、はははと豪快に笑い出す。
「そうか。ゲイソン会長でも老後は心配になるのだな。では、一曲、私の相手をしてもらっても良いだろうか?」
裏社交界であっても、ダンスは嗜みのようなもの。ルドルフに促されたアルベティーナは、彼の手を離れてウォルシュ侯爵へと身体を預ける。
「見事な髪だな」
ウォルシュ侯爵はその髪をすくいあげると、まじまじと見つめてくる。
「クリスティン、だったかな?」
「はい」
派手ではない音楽。しっとりとした曲調に合わせ、アルベティーナはウォルシュ侯爵のリードで一曲踊りきる。だが踊っている間も、ルドルフがどこにいるのか、何をしているのかが気になっていた。