隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 ルドルフが盛大に舌打ちをした。もしかして、アルベティーナの失態を嘆いているのだろうか。
「だ、団長……」
 アルベティーナは両手で包んだルドルフの顔を自分の方に寄せ、自ら彼の唇に自分の唇を重ねた。重なった部分から熱が逃げてくれるのではないかと、そんなことを期待しながら。
 そんなアルベティーナが驚いて目を見開いたのは、ルドルフが彼女の唇をこじ開けて、肉厚の舌をいれてきたからだ。アルベティーナはそこまでは望んでいなかった。ただ、彼に触れて熱を奪って欲しい、とそう思っていただけなのに。

 激しい水音が聞こえてくるのは、目の前のルドルフが激しくアルベティーナの唇を貪っているからだ。唇を食み、舌を絡め、彼女の全てを味わい尽くすかのように。気付けば、がっしりと両頬をルドルフの大きくて骨ばった手によって包まれていた。
 どのくらいお互いが貪り合っていたのかは知らない。寝台の上で横たわっているアルベティーナには逃げる術などがなく、ルドルフがその行為をやめてくれるまではそれを受け止めていた。
 重なり合った唇が離れると、「くそっ……」と悔しそうに呟くルドルフ。
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