氷の王子様は私にだけ甘々
朝から校門の近くに人集り。
中心には速水清、通称『氷の王子様』がいる。
私は避けるようにして、早足で教室へと向かうが……。
「河合さん!」
ああ……、見つかってしまった。
速水先輩は何故か私にだけとろける笑みも甘い言葉もくれる。
当然周りからの嫉妬も向けられるわけで嬉しいというより、大分困っているけれど。
仕方ない。
気づかれてしまったのなら無視はできないもの。
「……速水先輩、おはようございます」
「おはよう!朝から会えるなんて嬉しいよ」
艷やかな短い黒髪に二重の涼しげな目。
それから女子顔負けの真っ白い肌。
身長が高く、細見でスタイルも良い。
どうして私はこんな見目の良い先輩に好かれているのだろうか……。
覚えが無いのだけれど。