サキュバスの年の差@純愛物語 イリスとシオン・魔法の恋の行方・シリーズ8
サキュバスの告り方
3回目の訪問は、
迷わず、神殿の前の岩の隙間をくぐり抜けたので、イリスは胸をなでおろした。
イリスは、もともと、方向音痴なのだ。
魔族の長距離飛行訓練でも、
アラゴンはすぐに地形を把握して、最短距離で飛ぶが、
イリスは迷子になり、モタモタして最下位だった。
首位のアラゴンからはバカにされ、プライドが傷ついた悔しい過去がある。
この岩の隙間は、神殿の結界。
邪悪なものは通れないはず。
確か、神殿巫女って、言っていたな。
イリスは、神殿の玄関脇のベンチに座った。
自分の落ち込んでいる姿を、
あのカーチャというガキには見られたくない、
あくまで今日の訪問は、お礼という目的なのだ。
10分ほどすると、
畑からカーチャと、シオンが連れ立って歩いてくるのが見えた。
イリスは立ち上がり、頭を下げた。
「その、迷惑をかけたから、
あと、絹の情報のお礼をかねて・・・
これを、はちみつ酒です」
イリスは、しおらしい感じでかごを差し出した。
「そうですか・・・」
シオンは静かに言い、
隣でかごを持っているカーチャに目配せをした。
「今日はもう帰りなさい。
薬草の仕分けは私がやっておきます」
カーチャはうなずいて、岩の方に走っていった。