サキュバスの年の差@純愛物語 イリスとシオン・魔法の恋の行方・シリーズ8
神殿の香の匂いと、はちみつ酒の匂いが混ざって、広がっていく。

イリスは、シオンの体にまたがり、胸ぐらをつかんで叫んだ。

「最後に、チューぐらいさせろってば!
フラれたなんて、出禁なんて・・・・!
アタシにも、サキュバスのプライドってもんがあるんだから。

それで、あきらめる!
あんたの前には、二度と姿を現さないようにする!」

イリスの涙は、ぐちゃぐちゃの感情と共に、シスルの胸に落ちていく。

「ふぅ、くっ」
イリスの幼子のようにしゃくりあげる様子に、
ようやく、シスルは、口を開いた。

「私が・・・遠い昔でしたが、
神官になる前に、妻と娘がいました。
妻は短命のフェアリーで、子どもを産むと亡くなり、
娘も、年越しの儀式の直前で逝きました」

シオンは、金と緑の混じる瞳で、
なつかしむように、イリスを見た。
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