サキュバスの年の差@純愛物語 イリスとシオン・魔法の恋の行方・シリーズ8
「あら、そーう」
イリスは素早く、ハイヒールのつま先を、扉の隙間に突っ込んだ。
「アポは取っていないけど、
取り次いでくれないと困るんだけど、アタシが」
強引さと、強気はサキュバスの十八番だ。

「ええ・・でも」
少年は困っている隙に、
イリスは、スーツケースをドアの隙間に押し込んだ。

「あのさぁ、私が魔族で・・
入れたくないんでしょう。
それって、偏見だよね。

神殿にサキュバスを入れたら、
穢れるってさ、言われているんでしょう!」
イリスは口を尖らせて、言いつのった。

難癖をつけて、押し通すのも魔族の常套手段だ。

「神殿は、誰でも入れる場所です」
イリスは背後の声に、振り向いた。

「シオンは私ですが・・」
その声は、低めで落ち着いている。

ジジィ・・のはずだが・・・・
壮年というのは、まだ早い。

アラゴンより、少し年上くらいに見える。
透き通る肌色に、彫刻をしたように整った顔立ち。

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