この世からログアウト
放課後教室は昨日のテレビの話で持ち切りだった
「ねぇ、愛生さん。昨日のニュース見た?」
「あーうん。見たよ」
普段あまり話さないグループが声を掛けてくれたどういう風の吹き回しなのだろう。
「ほんっとにやばいよねー。」
「それなー!ブラックホールみたいだよねー」
「分かるわー!」
こうやって集団で相手の共感を受けないと話が
出来ない奴ってなんだか私はいけ好かない。
…早く終わんないかな
「うんうん。やばいよねー」
ーーーーーーーーーーー
「はぁーっ。話合わせるのって意外に疲れる」
帰り道私は1人トボトボ歩いていた。
ピロン♪
「ん?なんだろ」
スマホを取り出し見てみると、光莉からだった。
『やっほー!今話題の謎の物体があるビルにいまーす!本当すっごいよー!』
相変わらずビックリマークが多い文章に少しだけ
笑みがこぼれ落ちた。
『ビルから落っこちないでね』
そう、打ってみると
『あいったらー!ビルの中だから落ちるにも
落ちれないよー!』
なんていうツッコミが帰ってくる。
「っ…あははっ」
それだけで私の心は充分に暖かくなった。
「それじゃあ今日も家に帰ろう。」