遠くから眺めるだけだった推しが溺愛してくるのですが、これは夢ですか?
このままだと…もうすぐ…。


「莉音先輩!予告通り来ましたって、は?」


ああ、来てしまった。


風季くんはずかずかと教室に乗り込んできて、未だ私をつかんで放さない海斗くんを睨んだ。


「何してんですか?莉音先輩困ってるじゃないですか?」


この二日間では初めて見る風季くんの怒った顔。


今までのふわふわした感じとのギャップがすごい。


「…お前は莉音の何なの?」


海斗くんが低い声で尋ねる。


「あなたこそ、莉音先輩の何なんでしょ」


呼応するように不機嫌さを滲ませた声で、風季くんは質問を重ねる。


……一触即発。


本当だったら「私のために争わないで!」って言うシーンなんだけど、無理だね。
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