遠くから眺めるだけだった推しが溺愛してくるのですが、これは夢ですか?
ただただ冷や汗が流れるだけですよ。


この状況をフランス料理ぽく言うなら、『イケメンサンドイッチ~修羅場を添えて~』で決まりだわ。


原材料名は、推し、御曹司、私。




…思考回路が現実逃避に移りかけているのをもとに戻す。


私が打破せねば!


人がちょっとずつ増えてきてる気がするし、このままだと朝と同じ羽目になる…!


えーい!仕方ない!


心の中で海斗くんに謝って、手を振りほどく。


「風季くん、お弁当持ってきた?ここだと目立つから別の場所移動しようか!」


わざと明るいテンションを作って風季くんの背中を押す。


「…わかりました」


「じゃあ、未花ちゃんも急にごめんね!それじゃ!」


人が集まりすぎる前に、この場から退散!


風季くんの手を引いて、私は脱兎のごとくその場から逃げ出した。
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