遠くから眺めるだけだった推しが溺愛してくるのですが、これは夢ですか?
ふたりきりになった保健室は静まり返る。
な、何か会話は…!
東くんとふたりきりという予想外の展開についていけない。
そのかっこよさの秘訣は何ですかとか?…いや、ダメに決まってるじゃん!何考えてるの私は!
「…ごめん」
話題探しに困っている私にいきなりかけられた謝罪。
「えっと…何のごめん?むしろ私が迷惑かけてて申し訳ないんだけど…」
そう訊き返すと、東くんは少し焦ったような照れたような表情になった。
「いや、俺咄嗟に、その、お姫様抱っこしちゃったし…」
「そんな、全然…」
顔がみるみる赤くなっていっているのが自分でも分かる。