遠くから眺めるだけだった推しが溺愛してくるのですが、これは夢ですか?

ふたりきりになった保健室は静まり返る。


な、何か会話は…!


東くんとふたりきりという予想外の展開についていけない。


そのかっこよさの秘訣は何ですかとか?…いや、ダメに決まってるじゃん!何考えてるの私は!



「…ごめん」


話題探しに困っている私にいきなりかけられた謝罪。


「えっと…何のごめん?むしろ私が迷惑かけてて申し訳ないんだけど…」


そう訊き返すと、東くんは少し焦ったような照れたような表情(かお)になった。


「いや、俺咄嗟に、その、お姫様抱っこしちゃったし…」


「そんな、全然…」



顔がみるみる赤くなっていっているのが自分でも分かる。
< 11 / 114 >

この作品をシェア

pagetop