遠くから眺めるだけだった推しが溺愛してくるのですが、これは夢ですか?
「ねぇ、東くん...」
「何?」
「ごめん。私起きたばっかりで今が夢か現実か分からないんだけど...どっち?」
東くんはキョトンとした後、声をこらえて笑い出した。
「いきなり何聞かれるかと思ったら、予想外に面白い質問だった。いいよ、教えてあげる。これは現実」
「ひゅ」
小さく息をのんだ。
「じゃ、じゃあ保健室まで運んでくれたのも...?」
「うん」
「隣の席になったのも...?」
「本当のことだよ」
まさか全てが事実とは...ふふ、もう一回倒れそう。
「莉音とはあんまり話したことなかったけど、学校生活今以上に楽しめそうな気がする。これからよろしくな!」
「う、うん...よろしく」
東くんのまぶしい笑顔に顔を逸らしつつ、私はそう返事した。
...拝啓、全国の推し活に燃えている皆様へ
これが世にいう、推しからの認知というものでしょうか。
しばらくは平穏な推し活人生を過ごせなさそうです。