遠くから眺めるだけだった推しが溺愛してくるのですが、これは夢ですか?
なんの偶然だろうか。


俺が座る予定の隣の席には、今朝の話題の瀬川さんが座っていた。なぜだか怯えている。


並川と新谷に恨まれること間違いなしだな...そう思いつつ俺は声をかけた。


「これから隣の席?よろしく!」


その瞬間、瀬川さんは勢いよく立ち上がり全力疾走で逃げようとした。


「待って!」


俺は反射的に肩をつかんだ。


すると瀬川さんは急にピタッと静止し、数秒後俺の方へ体を傾けてきた。


「瀬川さん!?大丈夫?」


慌てて抱きとめてそう呼びかけても、答えは返ってこない。見ると、気を失っていた。
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