遠くから眺めるだけだった推しが溺愛してくるのですが、これは夢ですか?
え...なんで!?俺もしかして何かしちゃったのか!?


混乱していると、異変に気づいた先生が近づいてきた。


「どうしたんだ、東」


「…先生よく分からないんですけど、瀬川さんが倒れたのでちょっと保健室へ運んできます」


俺は先生にそう言って、瀬川さんを抱きかかえた。


周囲から声が上がったが、それを無視して保健室に向かって走る。


「先生、空いてるベッドありますか!?」


「え!えぇあるわよ」


いきなり駆け込んできた俺を見て保健室の先生は一瞬固まったが、すぐに奥のベッドに案内してくれた。


「このくらいの歳の女の子にはよくある貧血よ。もう5分もしたら起きるわ」


取り乱していた俺は先生の声に少し冷静さを取り戻す。


われものに触れるように、丁寧に瀬川さんをベッドの上に寝かせた。瀬川さんは静かに眠っている。
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