遠くから眺めるだけだった推しが溺愛してくるのですが、これは夢ですか?
焦って瀬川さんの様子を窺うと、少し肩が震えていることに気づいた。


…起きたら大して会話もしないクラスメートがいたなんて、そりゃ困るよな。


いろいろ自分がやってしまったことを思い返すと申し訳ない気持ちが込み上げてきた。


「…ごめん」


「えっと…何のごめん?むしろ私が迷惑かけてて申し訳ないんだけど…」


「いや、俺咄嗟に、その、お姫様抱っこしちゃったし…」


これ、言っててなんだかいたたまれなくなるな…


「そんな、全然…」


瀬川さんは今にも消え入りそうな声を出す。
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