遠くから眺めるだけだった推しが溺愛してくるのですが、これは夢ですか?
急展開に追いつかなくて当然だ…俺、これからどうしたらいいんだろ…


俯いている瀬川さんを前に頭を抱えたその時。


「その、運んでくれたって聞いたときは驚いたけど、嬉しかった。...ありがとう」


瀬川さんがそう言ってはにかんだように笑った。


ちょっと照れたようなその笑顔に


「かわいい…」


思わずそんな言葉がこぼれていた。


「え?ごめん聞こえ...「いや、何でもない。戻ろうか」


咄嗟に誤魔化して保健室を出る。


…聞かれてなくて良かった。


かわいい、だなんて…女子に疲れ果てた俺が誰かをかわいいと思う日が来るなんてな。
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