遠くから眺めるだけだった推しが溺愛してくるのですが、これは夢ですか?
風季くんは細かいことに気づくタイプらしい。


「差し支えなければ、何が書いてあるか見せてもらえませんか?」


「全然良いけど面白くはないよ?はい、このページ」


「レシピ、ですか?」


「うん。お弁当を作って欲しいって頼まれて。今度サッカー部の試合があるんだ」


「ふうん…」


相槌を打って少し黙り込む風季くん。かと思えば。


「それって…」


「ん?」


「彼氏のお弁当、だったり?」


冗談めかした口調で訊いてきた。


「そんなんじゃないよ~。大体、私に彼氏なんかいたことないって!」


彼氏いない歴=年齢のJKとは私のことである。
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