遠くから眺めるだけだった推しが溺愛してくるのですが、これは夢ですか?
急にグイグイ来た風季くんに少しばかり圧倒される。


でも、つながれた手は優しくて振りほどく気にはならない。


ただ。…周りの視線は全然優しくない。どころか、痛い。


拾えるだけでも、「あのイケメン誰?」とか「隣の女子、さえない子なのに」とか聞こえてくる。


うう。悪口はこの際置いておくとしても、この注目のされ方。


気まずさがMAXだ。


しかも、風季くんは平然としている。こういうのはもう慣れっこなのかなあ。


…とうとう私の教室までたどり着いてしまった。


いつの間にか増えたギャラリーの中に海斗くんを見つけてさらに気まずくなる。
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