エリート航空自衛官の甘すぎる溺愛で囲い娶られました~敏腕パイロットの25年越しの一途愛~
「あれ、すごかったけど危なくないの?」

「危ないよ」

 てっきり『大丈夫だ』とか『危ないけど平気だよ』とか、私を安心させる言葉が返ってくると思っていたから、即答されて驚く。

「常に集中力を保っていなきゃならないし、少しのミスが大惨事に繋がる。展示飛行なら陣形が乱れてみっともないくらいですむけど、戦闘中なら仲間の命を危険に晒すことになる」

 温度を感じないくらい淡々と言って、篠は私の額にキスをする。

 甘い感触をうれしく思いながらも、意識はキスより篠の発言に向いていた。

 危険を語った篠の表情は、命の重みを知る人間の顔だった。

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