エリート航空自衛官の甘すぎる溺愛で囲い娶られました~敏腕パイロットの25年越しの一途愛~
「あのとき、実結のお願いを聞いてやれなくて悪かった」

 ゆっくりとお互いの体温を溶け合わせながら篠が言う。

「あの、とき?」

「災害派遣されたとき。行かないでほしかっただろう?」

 あの朝に感じた不安を気づかれたと思ったのは間違いじゃなかった。

 申し訳なくなって篠を抱きしめる腕に力を込める。

「困らせてごめんなさい。自衛官の妻になった自覚はあったのに、覚悟が足りてなかったよね」

「いや、いいんだ」

 髪を撫でられて、頬に口づけられる。

「あのとき、不安なはずの実結が送り出してくれたから俺も頑張れたんだ」

「……そっか。私も篠のことを考えて頑張ったよ」

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