エリート航空自衛官の甘すぎる溺愛で囲い娶られました~敏腕パイロットの25年越しの一途愛~
 篠の指が私の顎をそっと持ち上げた。

 彼の顔がにじんで見えるのは、勝手にこぼれそうになった涙を堪えているせい。

「私の傍からいなくならないで……」

「約束する」

 誓いを刻むように唇を塞がれ、至近距離で見つめ合う。

「俺が実結をどれだけ愛してるか知っているだろう? だから約束は絶対に破らない」

「わがまま言ってごめんね……」

「わがままじゃない。そう言ってくれてむしろうれしいよ。好きな人が自分の身を案じてくれてるんだから」

 篠の口づけが何度も唇に落ちると、我慢していた涙がほろりとこぼれた。

 それさえキスで拭われ、篠のぬくもりに溶かされて不安と一緒に消えていく。

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