エリート航空自衛官の甘すぎる溺愛で囲い娶られました~敏腕パイロットの25年越しの一途愛~
幼馴染との再会
 春の温かさが充分空気に染み渡った頃。

 人で賑わう土曜の夕方、私、百枝(ももえ)実結(みゆ)は駅前の広場で落ち着きなく辺りを見回していた。

 ……なんで紹介する張本人がこの場にいないんだか!

 私がここにいるのはふた二つ年上の兄、結真(ゆうま)のせいだ。

 妹をからかうことに全力を尽くす兄は、私が二十八歳になるまでことあるごとに恋愛を邪魔してきた。

 学生時代は下校時間になると教室まで迎えに来て、「百枝実結にはシスコンすぎる兄がいる」と噂になった。そのせいで恋人を作って楽しく青春を送る友人たちと違い、私は夏祭りも年末のカウントダウンもクリスマスも兄と過ごす羽目になったのだ。

< 9 / 376 >

この作品をシェア

pagetop