俺様男子はお気に入りを離さない
「だから人気があるんだ?」
「そうみたい。ライバル多いけど千花子頑張って。私は千花子を応援する。千花子みたいな純粋無垢な子が御堂くんには合うんだって」
「そんな話を聞いたら自信なくなる。住む世界が違う人じゃない」
青ざめる私に対して菜穂は「そんなことないでしょ」と簡単に言ってのけた。
かっこいいだけじゃない、御堂くんの背景にはとんでもなく大きな後ろ盾があるのだ。
それにあやかろうとする女子に御堂くんは毎日追いかけられている。
もしかしたら芸能人よりすごいのかも。
私はあの日のことを思い出した。
御堂くんが美術室に飛び込んできた日のことを。
とても不機嫌に机の陰に隠れていた。
そして疲れたように目を閉じていた。
毎日追いかけられてストレスでもたまっているのだろうか。
「……御堂くんも大変だね」
呟きは菜穂には届かず、夕闇に溶けていった。