俺様男子はお気に入りを離さない
私は御堂くんの足を見た。
怪我をしていたという足は制服に隠れて何もわからない。
見た目だけなら別になんともなっていなさそう。
それに、普段歩いている姿は怪我をしているだなんて微塵も感じられない。
「御堂くん、怪我って――」
「もうすぐ球技大会だな」
聞こうと思ったのにちょうど御堂くんと言葉が被ってしまった。
私は慌てて返事をする。
「え、あ、うん」
「普通こんな梅雨の時季にやるか?」
御堂くんは外に視線を向ける。
晴れのような曇りのような中途半端な天気で雨が降っていないのにじめっとしている。
もうすぐ梅雨明けしそうだと天気予報で言っていた。
「そうだよね、雨じゃなくても暑いし。秋の方がいいのにね」
「芋子は何に出る?」
「バレーボール。御堂くんは?」
「サッカーだな」
「なんか、御堂くんっぽいね」
「そうか?」
御堂くんは頬杖をつきながら爽やかにニカッと笑う。
目が眩みそうな笑顔に心臓が悲鳴をあげそうになった。
御堂くんが球技大会でサッカーに出るなら、きっとグラウンドには女子の人だかりができるだろう。
私も頑張って見に行きたいところだ。