俺様男子はお気に入りを離さない
「なんか曇ってきたな」
御堂くんの視線を追って外を見れば確かに雲行きが怪しくなってきた。
黒い雲がどんどんと流れてきている。
グラウンドで部活動をしている生徒たちも一斉に校舎の方へ走ってきた。
どうやら雨が降り出したようだ。
「雨かぁ」
いくつか開けてある窓を閉めるため窓際へ近づく。
と、目の前がピカッと光り、驚いて「きゃっ」と小さな悲鳴が漏れた。
空からはゴロゴロと不穏な音が響いてくる。
「大丈夫か?」
「う、うん」
御堂くんが窓を閉めてくれ私はほっと胸をなで下ろす。
外は時おりピカピカと妖しい光りが空を染める。そのたびに私は身を小さくした。
「なあ、芋子って雷苦手?」
「うっ……」
「ははっ、可愛いやつ」
そう、雷は苦手なのだ。
空が割れそうな音を立てるし稲光は人を驚かせているとしか思えない。
ていうか、今聞き捨てならないことを聞いた気がする。
か、可愛いって?
顔に熱が集まってくるのがわかるし、どんな顔をすればいいかわからない。
目が泳ぎかけたそのとき――。
ピカッゴロゴロドシャーン!
ひときわ大きな音が轟いて校舎を揺るがした。
微かに聞こえる生徒の悲鳴。
どうやら近くに落ちたらしい。