俺様男子はお気に入りを離さない
雷が近い。
ちょうど今学校の上を雨雲が通っているのだろうか。

クッと笑う声が聞こえて私は御堂くんを見る。

「お前、ほんと可愛いやつ」

「え?」

御堂くんの視線の先を辿れば、御堂くんのシャツを握る手が目に入り……。

「はわあああっ! ごっ、ごめんなさいっ!」

どうやら雷が怖くて無意識に御堂くんのシャツを握りしめていたらしい。
焦ってパッと手を離せばぐっと掴まれる。

「怖いんだろ?」

「……う、うん」

「じゃあ手繋いでてやるよ」

不敵に笑う御堂くんの口調は乱暴なのに握る手は優しい。
ドキドキと脈打つ心臓の音が聞こえてしまうのではないかと思うほど緊張している。

「どうせ通り雨だろ。すぐ過ぎ去る」

「……うん」

外は相変わらずゴロゴロドシャーンと音を立てながら騒がしいのに、御堂くんと手を繋いでいると不思議と安心して怖くなくなっていた。
雷は嫌いだけど……手を繋いでいられるなら悪くないかも……なんて思ったりして。

どうやらこの夕立で梅雨明けを迎えたようだ。
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