俺様男子はお気に入りを離さない
「御堂くんってすごいんだね」

「だよね。勉強もスポーツもできるなんて羨まし……」

「じゃなくて、人気よ、人気。御堂くんファンってこんなにいるわけ?」

まわりの歓声に菜穂は目を丸くして驚いている。

「いやー、普段から騒がしいなとは思っていたけどこれほどまでとは」

「ふふっ、菜穂は興味なさすぎなだけでしょう?」

菜穂は私に付き合って御堂くんを見に来ただけだから、御堂くんの人気ぶりを侮っていたらしい。
本当にすごいんだから、御堂くんは。

「ところで千花子、大丈夫? 結構日差しきついけど」

「うん、日焼け止めは塗ってきたし、頭痛くなりそうだったから先に薬も飲んできたんだ」

「さすが、御堂くんを見るために準備を怠らないわね」

「え、へへ……」

そう、実は楽しみにしていたのだ。
球技大会自体はスポーツが苦手な私にとってあまり好きなものではないけれど、御堂くんの勇士が見られるのは眼福以外の何物でもない。

去年は御堂くんを好きなこと、菜穂にも秘密だったから一人でこっそり見ていたっけ。
今年は菜穂が一緒にいてくれるから心強い。
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