俺様男子はお気に入りを離さない
ど、どうしよう。
う、嬉しいけど緊張する。
私の手を握る御堂くんは「急ごう」と言いながらも私のスピードに合わせてくれる。
こんなにかっこよくて優しくて頼もしくて完璧な御堂くんの隣にいられるなんて幸せすぎる。
なんだかもう、一生分の運を使い果たした気分だ。
「芋子、お前さ、手握れよ」
「えっ?」
核心を突かれた気がしてドキリとする。
そう、御堂くんが私の右手を握ってくれているけれど、私はされるがまま、自分からは握っていない。
だって、だって、そんなの、緊張するじゃない!
「手繋ぐの嫌か?」
「ううん、嫌じゃない」
嫌じゃない……けど……けどっ!
私はそうっと右手に力を込めた。
指先が御堂くんの手の甲に触れる。
じんわりと御堂くんのあたたかさが伝わってくるようで心が震えた。
御堂くんの手に再び力が込められる。
ぐっと握った手が目の前に差し出された。
「なんかいいな、こういうの」
御堂くんは柔らかに笑う。
優しくて穏やかで、こんな幸せな時間をくれることに泣きそうになった。
「……うん、いいね」
私も小さく微笑み返せす。
夜空には大輪の花火がキラキラと宝石みたいに輝いた。