俺様男子はお気に入りを離さない
家で勉強なんてまったく捗らなかった。
結局、考えてしまうのだ。御堂くんのことを。

だけどこれでよかったんだと思う。
御堂くんと親しくなる前に戻っただけ。

御堂くんと一緒にいて、私だけが文句を言われるならきっと我慢できた。
だけど違う。

御堂くんへのマークはキツくなっているし、御堂くんが私なんかといるために評価が下がるのが嫌なんだ。

――なんであんな子と?
――釣り合わないよね?
――騙されているんじゃない?

騙してなんかいない。
でも釣り合わないのは本当。
御堂くんにはもっと美人でスタイルも良くて頭も良い人が似合うのだから。
芋くさい私なんかじゃ……。

ぽたりと教科書に雫が落ちた。

「あ、……あれ?」

ぽたり、ぽたりと頬を伝って落ちていく。
泣くつもりなんてなかったのに。
胸が苦しくて張り裂けそう。

私は御堂くんのことが好きなのに、身を引かなくてはいけない。
ううん、身を引くだなんておこがましい。
もともと私たちは何もなかったんだ。

美術室に逃げてきた御堂くんを匿ったから、それでちょっと仲良くなっただけで……。
それだけでしょ……?

納得しているのに納得できてない感情が邪魔をする。

ぐちゃぐちゃな気持ちのまま臨んだ中間試験は散々なものだった。
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