死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。


「それは…今の方がいいの?私今も笑ってるけど」


私は気づくとそんな質問をしていた。



私は、多分。


変わったと思う。自分でも思う。



「ん!夏菜は、今の方がいい。

ちゃんと、ホントの笑顔を夏菜は今できてる。すごいことだよ」



里花は、ニッと笑い、優しく言ってくれた。誰かに言ってほしかった言葉。



頑張って、笑っていた。



嫌われると思った。



何かボケられたらつっこみ、なにか言われたら笑う。



それの繰り返しの毎日だった。




いじられるのは、ほんとはあまり好きじゃない。
中学のほどではないから。よかったけど。



私は変わろうとしていたんだ。


だから、家に帰れば泣いたりした。

悩んでたんだ。隠してたんだ。自分で自分を。正直になれてなかった。




「え!?夏菜!?なに泣いてんの!?」





私は泣いていた。スカートに雫が落ちて、シミが残り、消えた。

私は人前で泣くことなんてほぼなかったのに…。泣き止まないと。


他のクラスメイトがチラチラとこちらを見てくる。



ただの友達だと思っていた。里花には里花の友達がいるし、別にただの友達。

でも、わたしのことをちゃんと見てくれていた。ちゃんとわかっていてくれた。

誰かに言ってほしかった言葉を言ってくれた。




「里花……ありがと…前髪切ったね…っ」




「なんで今それなのよ!…夏菜…頑張ったんだね」



「…………っ…」
ああ。涙がとまらない。


もしかにして、私の、ヒーローは−



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