死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。

「えっと、なんで犬なんか持ってきたんです…?」

まず、ここから。ここから聞きたい。



「あはは…」


苦笑いして、彼女は誤魔化そうとしている。わかりやすい。



「あは、は…」

私もまた苦笑いを浮かべた。



「えっと!君、好きな人はいる?」



また、急な話題の提示……



「えっ、と」

好きな人は?…そんなの、聞かれたのは久しぶりだ。
好きな人…。でも、こういうのはいないというのが1番だな。



「いない、です」 


多分、いない、かな。


「ほんとに??」


「えっ…?まあ」
そんなに私は顔に出ているだろうか。


「ほう。いるんだね」


え、いやちょっとまて。話の展開が速い。



「実はね。私もいて」




「あーそうなんですね」

私が恋愛話なんてできるのだろうか。


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