死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。
「さ、爽玖くん!遊園地とか水族館どう!?」
放課後。
私は勢いでとりあえず言ってみた。お兄ちゃんが色々とアドバイスをしてくれたおかげ。
「美味しいもの食べに行くのになんで遊園地とか?」
想像内のツッコミと無表情を受けるが、私は負けない。
いやもう慣れた。
「遊園地とか水族館にもあるんだって」
「まあ夏菜さんがいいなら…いいですよ」
「ほんと!?よかった。
昨日の夜唸りながら考えてたから、猫の喧嘩してる声と間違えられたんだよね」
「なにそのエピソード。そんなに考えてくれたんですね。ありがとうございます」
「全然!いつもの考え事よりも100倍たのしかったから」
「なんで100倍なんです?」
無表情だけど、笑っているように見えた。
「どうする?水族館か遊園地とか」
「水族館」
珍しく、爽玖くんはしっかりと答えた。
「じゃあ水族館!そこでも食べ物あるし。なんかごめん勝手に決めて」
「大丈夫です。どっか俺も行きたかったし」
爽玖くんの心情がよくわからないけれど、探らないでおこうと思った。