死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。


「あの」


「?」


「気まずかったりします?」


いやいや。なんで言えるの?すごいな…


「え、あ、違う違う」


「別に頑張らなくていいですから」

爽玖くんは私を安心させてくれているように見えた。

上の方向を見ている。


「どこ見てるの?」

頑張らなくていいと言われると、頑張りたくなるし、無性に話題が思いつく。

「え?ああ。空です。雲が綺麗で」


「確かに」

入道雲が綺麗に浮かんでいる。


「もう寒くなりましたね。秋だ」


「ねー。私の名前消えるね」

夏菜。夏がつくし、夏野菜のような字だから。

「面白くないですよ?」


「ははっちがうよ!笑わそうと思って言ったわけじゃないから」


「そうですか」

無表情。だけど、その無は愛しく思える。


「あの聞いてもいいですか」


「ん?」

なんだろう。私は爽玖くんに言う事…?


「そのクマ、なんですか」




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