死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。

「夏菜さんは緊張しすぎですよ。深呼吸して」

保健の先生にもそれは言われたことがある。


工場があるこの町だけど、空気は汚くなく、綺麗な空気に思えた。
頬に小さな風が通り過ぎていく。


「ふぅーはあ」

深呼吸をする。こんなに綺麗な空気だったっけ。

「なんか落ち着いた気がする」

私は笑う。ホントに効果あるんだ。という実感をする。


「でも、そこまで酷くないから大丈夫」


「あ、ありがとう」




それから、色々話した。

爽玖くんが入っていた部活はバスケ部ということ、私が好きな色、これからの進路のこと、色々話した。


そして、ついについた。


水族館。




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