死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。
爽玖くんの口からおいしいという言葉が出た。
「ん。めっちゃおいしい」
私も同感する。
「夏菜さん」
爽玖くんが私の目を見る。
「は、はい?」
「美味しいです。」
少し笑顔。それでもきっと笑っている。
「ほんと?」
「はい。さっきも言ったけど」
胸の中が熱くなる。嬉しかった。私がかはわからないけど、喜ばせることができて。
「あのロボットかな」
あのロボットが、美味しくなる魔法をかけてくれたのかもしれない。
「ロボットと夏菜さんのおかげですね」
あのやり取りがあったけど、ちがう。
「爽玖くんもね」
私は笑顔で爽玖くんの言葉に追加する。
「爽玖くんがいなかったらあのやり取りできないし。」
「…ふふありがとうございます」
爽玖くんは、また小さく笑った。かわいらしい笑顔だった。