死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。
「死にたかったのに。くそっ」
爽玖くんは、口調とやられたーという怒った表情を私に初めて見せた。
「夏菜さんのせいで、死にたくなくなったじゃないですか」
「爽玖くんが言ってきたんでしょ!!」
私は思わず大きくツッコミをする。
「俺…夏菜さんに、始めて会った小学生の頃。この人は辛いことも悲しいことも何もないような人なんだろうなって思った」
爽玖くんは、下を向き言葉を続ける。
「でも、違うかった。みんなみんな、辛い今を全力で生きている。だから。俺も」
「…そっか。がんばろうね」
何の言葉をかけてあげられるのかは、わからなかった。でも、私はがんばろうという5文字を人生でよく使っている。
「はい」