死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。

「え、!?ちょ、な、夏菜さん!?!!?
大丈夫ですか?!ご、ごめんなさい!!なんか俺、言いました?!すみません!!」


必死に私を心配してくれる爽玖くんを見て、せっかく心配してくれているのに、

ふふっと笑ってしまった。


これは、私の本物の笑顔だ。



涙はもう止まらないのではないかというくらい流れ、

そして、私は大笑いをしている。という奇妙な状況。



爽玖くんはあわあわ、おろおろしている。

見たことのない爽玖くんの表情だっ
た。


「ごめん…なんで…泣いてんだろ。」
 

なんとか絞り出した言葉。


「ホント…ごめん」


勝手に泣いちゃってごめんと、何度も謝る。

人前で泣くなんて…初めてだった。


辛すぎて泣きそうになっても、目の前で泣くことはなかったのに…。
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