死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。
「あの」


爽玖くんとはあまり目を合わせない時がある。
お互い目を合わせていると、緊張するからだろうか。



「ん?」



私は笑顔で、喋りやすいように雰囲気を作る。



「部活は入ってないんですか?」


あ、部活の話か。
 


「ああ部活ね。部活は中学生の時は入ってたけど、高校は入ってないよ。」



「どうしてですか?」


どうしてそこを指してくるんだ…


「え…えっと…わ、私ね。

こう見えて、人間関係が苦手で…部活は少しでも休んだら嫌われるかもだし、
先輩と関わらないとでしょ?
だから…高校では入らんとこうって決めてた。」

正直に話した。爽玖くんは薄くうなずいて聞いてくれていた。



「俺も。」


 
「爽玖くんも…?」


同じ人…いるんだ…。

こんな人間関係とか考えて部活やらないとか、私だけだと思っていた。



「はい。俺も。人間が怖くて。」



「あ…そうなんだ。一緒だね。一緒の人いて嬉しいや。」


運動場を見ると、サッカー部や野球部、陸上部などが活動していた。


これを見て、爽玖くんは私に質問をしたのかもしれない。


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