死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。
「生きる意味とか考えなくていい。
よくどおしく、生きてやったらいい。
爽玖くんがどんな事情があるかは知らないけど、
胸張って、自分らしく、生きてやったら、いいと、思う。」
「…………」
無言が走る。爽玖くんの表情が見えない。
「え?あ、ごめん!!人の事情すら知らないし、言える資格ないのにね」
我に返り、勢いよく爽玖くんの肩を掴んでいた手をはなす。
突然、彼もまた、私の肩を掴んできた。とても細く、心細そうな小さな手。
「…え?」
私が反応すると、
無表情の彼は私の肩を掴んでグッと私を爽玖くんの顔の近くに引き寄せられた。
顔がとても近い。
「え!!??ちょ、…??」
学校の男の子とこんなに顔を近づけるのは初めてだ…え…何…?顔が…熱い。
「は?生きる意味なんていらない…?夏菜さんが言わないで下さい」
き、キレている、?やばい。
私の勝手な発言で怒らせてしまった。
でも、彼の表情は何1つ変わらず無表情。
顔が…近いって…息がくるしい………。
私は何も動けない。
爽玖くんも耳、頬が赤い。これ、他人から見るとどうなんだろう…。
爽玖くんは今どういう心情なのか読み取れない。
「ほら。また顔、赤い。」
爽玖くんはからかうように言った。
「…だって…。近いし……」
すると、爽玖くんは手を離した。
私は普通の体制に戻る。近かった…………
私もだけど、ものすごく爽玖くんが顔が赤い。