死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。
「でも…夏菜さんに言われたくなかった」
私は次の言葉を待つ。黙って聞いておく。
「俺が生きる意味があるのなら、夏菜さんは100倍はあります。」
どうして、私は生きる意味が爽玖くんの100倍も…?
なんで100倍と例えるの?と、
笑いそうになってしまう。
でも、真剣な目にいつも通り笑うことができなかった。
爽玖くんのような優しい素直な人のほうが、意味なんてきっとある。
「だから…夏菜さんも…自分らしく生きて下さい」
私は…自分らしく生きているのだろうか。
不意にそう思った。
いつも笑って、
下手で不器用なのに
空気をできるだけ合わせ、
雰囲気を作り、嘘だらけの自分だった。
私は明るいよねと、
言われても、
あまり嬉しくないのは
そういうことなのかもしれない。