死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。
「嫌われたく…なかったのかな」
こんな本心を素直に、人に言ったのはいつぶりだろう。
今度は爽玖くんも、静かに聞いてくれている。
「笑っていれば、嫌われないと思ってた。」
そうだ。私は…嫌われたくないんだ。
「…。」
「うん…。そうだ…。私…。印象を明るくするために、ずっと笑顔を貼り付けてた。
でも別に、人気者になったわけじゃないし、嫌われてるかもしれない。
辛かった。自分弱すぎだ。」
どんどん、自分の本心が口からもれていく。思ってもいなかった事が。
「何してんだろ…意味ないじゃんね。
結局、自分がただ…失われていただけ…
だった。」
何もないのに、泣いた日もあった。
どうして…こんなに、自分の本心が爽玖くんの前だと漏れていくんだろう。
いつも貼り付けている笑顔が、今はない。素直な表情を私はしている。
私は眼の前の視界にぶるのを感じ、傘で自分を見えないようにする。