死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。


「やっと」 


「ん?」


「やっと、本音聞けた」

胸の前でグーをしてガッツポーズをしている爽玖くん。


意外過ぎて笑ってしまった。

本音が言えて少し楽になった気がする。



「ありがとう。

爽玖くんの方が、ある。

じゅうぶん生きる意味。
優しいし、素直だし。
つい最近出会った私なんかに言われたくないだろうけど」


ここでいつも笑うが、笑えなかった。


「そんなことないです。
俺は全然優しくない冷たい人間だし、
素直じゃない。いなくなっても分からないような人間です。」


どうして…そんなに爽玖くんは自分の首をしめるようなことを言うのだろう。



「爽玖くん。もし君がいなくなったら、私がわかるよ?」


いたずらっぽく笑ってみる。


「えっ?」


「そりゃあそうだよ!こんなに一緒に死んで下さいとか、私の頭に一生残るよ!!」


「…。確か…に。」
爽玖くんはゆっくりとうなずく。


「あ」


何かを思い出したように彼は上の方を見て、立ち止まった。
 


「へ?どうしたの、?」



爽玖くんが見ている上のほうをみても何もない。
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