死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。

「え…っと、もし…私が死なないって言ったら…?」


「うーん…。1人で死にましょうか」


「え…。そ、そんな…私罪悪感しかないじゃん…」
一呼吸おく。

「あの…そんなに死にたい理由でも…?」


「…。まあ」



「ええ?」


「とりあえず道あっちなんで帰りますね」


彼が指差した先は左方向。私は右方向。


「あ、うん。あの。今日は、私の本音聞いててくれて…ホントにありがとう。

気持ち整理できたしスッキリした。」
 


「よかった」



そう言って、ほんの少しだけ彼は目を細める。
どこか無邪気な子供のような顔だった。


「うん!バイバイ」


手を振って、背を向け、足を動かした。
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