死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。
「夏菜さん?」
私は変わらず踊り場の壁に背をもたれて腕を組んで考え事をしていると、我に返った。
「え、あ、爽玖くん」
爽玖くんが立っていた。
「大丈夫…ですか」
「え?」
またいつものように、彼は心配してくれる。
「あーうん。大丈夫。優しいね」
心ちゃんの話を聞いてから、爽玖くんに問いたいことがあるけど、言ってもいいのだろうか。
「っていうか、いつもなんか突然来てくれるね。もしかにして…ストーカーとか!?」
なんだか爽玖くんのあの笑顔が見たくて、まあ見れないだろうけど、冗談めかして言った。
「はぁ?いや、そっちこそ俺の前にいっつも現れたりして」