死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。
「あ、鳴った」

私はもたれていた壁から離れた。

「じゃ、俺教室帰ります」


「うん。また放課後」

そう言って、またいつも通り手を振ってそれぞれの教室に帰る。


また放課後。と、口に出して、心の中でもまた言った。



−また爽玖くんと話したい。会いたい。−



いつしか私は、そんなことを思うようになっていた。


爽玖くんは真剣に死にたいと思い、

私に誘ってくれているのに、

私は何をしているんだろう。

そう、心の何処かでは思っている。でも…会いたい。爽玖くんは死んでほしくない。そんなことを

いつしか思うようになっていた。
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