死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。

「ほら、やっぱり、バカにされたくないんじゃん」

「…」
バカにされたくない?いや…私は…自分でバカだといったのに…。

「バカだよね…とか今さっき自分で言ったのに、バカにされたらキレてるんじゃないですか」

確かに…そうだ。認める。

「確かに−」


「バカじゃ、ないですよ。」


「え」

その時、彼の目はとても優しかった。黒くて優しくて、全く彼のパッと見た感じのイメージとは違い、優しい。


「全然、バカじゃないし。

いやなんか俺がアドバイスしてんのおかしいんですけど…」


「あ、いや、全然大丈夫」
爽玖くんが言ってくれるなんて…

「バカじゃないです。だったら俺大バカもんです。」

「…?」 

「何首かしげてるんです?俺だって死にたくて人と一緒に死のうとしてるんですよ?」

「あ、ああ。」


「夏菜さんは、バカじゃない。」


「…、ありが、とう」

私は素直な心の中の言葉を言う。そして、私は今、笑っている。ニコッとして、満面な笑顔だ。自分でも分かる。

そして、私は目が潤う。でも涙を流しているわけではない。必死に隠す。私はそんなに泣かない人なのに。泣いてしまう。

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