死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。


「だから。夏菜さんはバカじゃないです」


「…な、なんで?」


「悩んで普通なんです。大丈夫。それならみーんなバカです。

あんまり答えになってないけど、

一生懸命生きているのなら、それはバカじゃないですよ」


「あり、がとう。」

うう。また泣きそうだ。


神様。ありがとう。爽玖くんに、出会わせてくれて。


そう、私は思うのだった。 

「っていうか、それいじりじゃないです。それは、嫌って言わないと」

「そんな…私…無理だよ…そんなの言ったら嫌われる」
そう、嫌われる。

いじり、は、いじめよりも、なんとも言えない状況。だから。


「そうですか…ま、俺も嫌だって言えないですけど」


爽玖くんも言えない…?素直だし、言えそうなのに。


「でも、一緒なんだ。ちょっと嬉しい」


「皆そうですよどうせ。

簡単そうで言えない。誰かに相談しても、何もならない。関係が悪くなるだけ」


「わかってるんか」
私は思わずツッコミをしてしまった。

「まあでも、いじりなんかに困ってる夏菜さんに、言われたくないですね」


「でもね。私…」

別に、それだけ悩んでるわけじゃない。他にも沢山あるんだ。

そう伝えようとしたら止められてしまった。

「俺も…、」
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