死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。
「あ、あのさ。
私に年上って分かってて一緒に死んで下さいとか言ったの…?!」


「はい。」


彼は、真顔で平常に言う。



「ゆ、勇気あるんだね…。」



なんで敬語なんだろうって思ってたけど、やっぱり年上だからだったのか。



「俺が、愛の告白するとか思ってました?」



「え…あ…はい。されると思ってた…。

いや、だって、机の中に手紙入ってるし、
体育館裏って告白用みたいなだから…。」



「そうですよね。色々とごめんなさい。」



「あ、いや、全然大丈夫だよ!

新川くん。」



「爽玖でいいです。この名前、あんま気に入らないんですけどね。」



かっこいい名前だと思うけど。


「あ、さ、爽玖くん。なんで…死にたいと思ったの?」



言っても良いのか迷ったけど、やっぱり先輩だし、相談にのったほうがいい気がした。




「俺の相談にのってくれるんですか?
そんな気遣いみたいなの大丈夫です。
マジでやめてください。」



「あ、わ、わかった。ごめん」



「で、返事は?」



「え?」



「俺と一緒に、死んでくれますか?」


ちょっと待ってよ…。いや、さすがに。。




−でも、私は何故か何も言えなかった。

私は無意識に下を向いた。



「…………」


「死ぬんですから、すぐ決まらなくて当然ですよね。
別に返事はいつでも決まったらでいいので。早めにお願いします。」



「は、はい…。」



「ここに来てくれて、ありがとうございました。」



そう言って、爽玖くんは帰っていった。


学生鞄を持っていたので、もう帰るのだろう。
じゃあ、私と同じで部活何も入ってないのかな。
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