死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。
「じゃ、夏菜さんは?」
少しニヤッとして私を見つめてくる。
私を…煽ってる?煽るのか爽玖くんも。
私は机に広がった爽玖くんのテストプリントを見た。
「いや…一応やめよう」
「いや、見せてください」
「いやいや…97点の人にそれ言われたく−」
「立って?」
「は、はい。」
急なる真顔、そして急なる声のトーンに怖くて負けてしまった。
言う通りに立って、机の横に移動する。
爽玖くんは勝手に。もう一度言うが勝手に私の机の中を見て、テストプリントを探している。
テストプリントは、昨日返されたばかりで、持っていた。
机の中に。
「あった」
小さく声を漏らして、私の国語のテストプリントを取り出した。
ファイルにも入れず、机に入れた私が馬鹿だった。