【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました 2
思いだす元彼
大人になって稼げるようになったから、今は金を使った事をしているが、それも元は子供の頃に両親に喜んでほしいと、似顔絵を描いたり手伝いをした行動からなのだと思う。
「俺は香澄の事が好きだから抱きたい。気持ちいいからセックスしたいっていうのもあるけど、俺が一人で快楽を得ても仕方がないだろう?」
「……元彼はそういう考え方じゃなかったです。もっと……、言い方は悪いですが、独りよがりでした」
「うん、だから『俺の方がいい男』って言ったんだ」
香澄の全身に手を滑らせた佑は、シャワーを出して彼女を丁寧に洗ってゆく。
それから香澄のクリップを取り、ヘアマスクを洗い流してコンディショナーを髪に塗り、それも洗い流す。
「バスタブ入ってて」
「はい」
胸元と下腹部を手で隠してコソコソとバスタブに入ると、佑は自分の髪と体を洗い始めた。
見ているのも申し訳ないし自分が恥ずかしいので、香澄は彼に背中を向けて膝を抱えていた。
(本当に、そういう意味では健二くんは良くない彼氏だったなぁ……)
付き合っていた当時は彼の事で頭が一杯だったが、分かれたあとになると嫌な面ばかり思い出してしまう。
分かれた直後には、香澄自身体調を崩してしまっていた。
彼氏と別れたら誰でもダメージを受けるだろうが、香澄は自分の場合は少し特殊だったのでは、と思う。
少しトラウマも残っていて、それで長年「彼氏は作らなくていいや」と思って過ごしていた。
(健二くんとのセックス……どうだったっけ。丁寧に愛されたんじゃないのは、確実だけど……)
けれど思い出そうとしても、どうしてか記憶がぼんやりする。
健二の顔や、見た目や声などは思い出せるのに、彼とのセックスがどうだったかが思い出せない。
そのうち苦しくなってきて、香澄は大きな溜め息をついた。
「どうした?」
キュッとシャワーのコックを捻って、タオルで軽く髪の水気を取った佑が、湯船に足を入れ尋ねてくる。
「な、何でもありません」
彼のために場所を空けようとバスタブの隅に移動しようとすると、佑が「こっち」と言って抱き寄せてきた。
「わ……」
そのまま、香澄は佑に後ろから抱きかかえられた体勢で、バスタブに落ち着いてしまった。
ザバー……と溢れるお湯をつい「勿体ない」と思いつつ、佑が入れたジョン・アルクールのバスオイルの匂いを思いきり嗅ぐ。
「何か私、まともに愛される事を知らないんだと思います」
「うん、俺もだよ」
意外な言葉を聞き、香澄は思わず佑を振り向く。
「俺はまともな恋愛をしてこなかった。唯一向き合ってくれた女性も、俺がバカだったせいで離れていってしまった。だから今度は何があっても失敗したくない」
(色々……あったんだな。そりゃあ、三十二歳でこのスペックなら、女性経験が豊富でも当たり前か)
自分に言い聞かせながらも、ガッカリする自分がいて苦笑いしてしまう。
(嫉妬する権利なんてないんだから。私は佑さんの元カノみたいに、昔の彼を知らなかったし、同じスタートラインにいなかった。同じ舞台に上がってもいないんだから、嫉妬するだけ無駄)
「香澄」
考え込んでいた彼女に、佑が声を掛けてくる。
「は、はい」
「多分俺は、面倒臭い男だと思う。それでも、嫌な所があれば、言ってくれたら直すよう努力していきたい。香澄とずっと一緒にいたいから、何かあったら話し合おう」
「はい。……私も大概、面倒な女だと思いますが」
「はは、じゃあお互い様だ」
佑は香澄の首筋にキスをし、胸を手で包んできた。
背中には逞しい胸板の感触があり、全裸で密着していると再認識するとジワジワ恥ずかしくなってくる。
「参考までに、香澄は何が好き?」
「え?」
「好きな体位とか、舐められるのが好きとか」
「そっ、そんな! ありません!」
(なに聞いてきてるの!)
焦って声をひっくり返した香澄だが、佑は冗談を言ったつもりもなく素のまま続ける。
「俺は香澄と色んな事を体験したいけど、希望があるなら優先するから聞きたいなと思って」
「うう……考えておきます……」
「分かった」
チュッとこめかみにキスをされ、そのあとは逆上せかけるまでお湯に浸かりバスルームを出た。
バスルームを出たあと、佑は香澄にフェイスケアをさせ、そのあいだ香澄の体をバスタオルで拭き、顔用の化粧水を全身に塗っていく。
「知り合いの美容家さんが、体にもちゃんと化粧水してからミルクやクリームで保湿を、って言ってたんだ」
「美容男子ですか?」
「俺自身は身だしなみ程度の意識だけど、主に香澄のケアについて聞いたかな」
「う……うう……。ありがとうございます」
「大事なうさぎだから、大切に飼わないと」
「うさぎ!?」
何の事かと彼を振り向いた瞬間、桃の香りがするボディクリームをお尻に塗られて悲鳴が漏れた。
「っひぁんっ!」
「俺だけのバニーガールだろう?」
「そっ、それ……っ、引っ張ります!?」
「この辺に尻尾があったっけ」
尾てい骨の辺りをスワッと撫で上げられ、「ふあぁああぁ……っ」と情けない悲鳴が出た。
「可愛いな」
佑は笑いながら香澄の肌にボディクリームを塗り、それから一度手を洗って、彼女の髪に洗い流さないトリートメントを揉み込む。
「いっ、意地悪です!」
「いや、でも実際香澄の体にジャストフィットする、バニースーツを作ってるし……」
「えっ?」
ギョッとして鏡越しに彼を見るが、佑は意味深に微笑むだけで「冗談だよ」とは言ってくれない。
「そ、そんな……。もう八谷は辞めましたし、着る場所なんてありません」
「『プライベート・バニーガールバー 御劔』とか」
ニヤッと笑った佑は、手に持ったドライヤーのスイッチを入れて、香澄の髪を乾かし始めた。
(自宅でバニーガール接待ですか!?)
くわっと目を見開いて鏡越しに佑を見るが、彼は楽しそうに微笑んだままドライヤーをかけ続けるのみだ。
むぅ……と膨れる香澄を見ながら佑はドライヤーをかけ、やがて髪がサラサラになる。
「ありがとうございます……」
佑も自分の手入れをしてドライヤーをかけ始め、香澄はその隣でコソコソと寝間着のキャミソールとタップパンツを着る。
やはり横を向いて彼の準備が終わるのを待っていると、ドライヤーの音が止み、衣擦れの音がしたあと、後ろからギュッと抱き締められた。
「わっ!」
「香澄、一緒に寝よう」
自分の桃の香りとは違う、佑の男性らしいボディクリームの匂いがフワッと立ち上る。
風呂上がりで体温が高いからか、香りはより強くなっている気がした。
「さっきのバニーガールの、何ですか?」
「ん? 言葉の通りだけど」
佑は洗面所を出て、「水もらうよ」と香澄の部屋の冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを二本出した。
そのまま彼がソファに座ったので、香澄も向かいに座る。
「言っておきたいのは、バニーガールが好きで堪らないとか、特殊性癖じゃない」
「じゃあ……」
「香澄が着てるからに決まってるだろ?」
太腿に手を置かれ、香澄は緊張する。
「……お触りするんですか?」
赤面してポソッと尋ねた言葉に、佑が思わず噴き出す。
「香澄が触らせてくれるなら」
「うぅ……。検討しておきます……」
むくれたまま返事をすると、また佑が楽しそうに笑った。
その後、風呂上がりの火照りが抜けるまで会話をし、就寝は佑の寝室に向かってまた抱き枕になった。
何かされるのかドキドキしていたけれど、「平日は疲れさせたら悪いから」と言ってくれたので、多少緊張しつつも気が付けばスヤスヤと眠ったのだった。
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「俺は香澄の事が好きだから抱きたい。気持ちいいからセックスしたいっていうのもあるけど、俺が一人で快楽を得ても仕方がないだろう?」
「……元彼はそういう考え方じゃなかったです。もっと……、言い方は悪いですが、独りよがりでした」
「うん、だから『俺の方がいい男』って言ったんだ」
香澄の全身に手を滑らせた佑は、シャワーを出して彼女を丁寧に洗ってゆく。
それから香澄のクリップを取り、ヘアマスクを洗い流してコンディショナーを髪に塗り、それも洗い流す。
「バスタブ入ってて」
「はい」
胸元と下腹部を手で隠してコソコソとバスタブに入ると、佑は自分の髪と体を洗い始めた。
見ているのも申し訳ないし自分が恥ずかしいので、香澄は彼に背中を向けて膝を抱えていた。
(本当に、そういう意味では健二くんは良くない彼氏だったなぁ……)
付き合っていた当時は彼の事で頭が一杯だったが、分かれたあとになると嫌な面ばかり思い出してしまう。
分かれた直後には、香澄自身体調を崩してしまっていた。
彼氏と別れたら誰でもダメージを受けるだろうが、香澄は自分の場合は少し特殊だったのでは、と思う。
少しトラウマも残っていて、それで長年「彼氏は作らなくていいや」と思って過ごしていた。
(健二くんとのセックス……どうだったっけ。丁寧に愛されたんじゃないのは、確実だけど……)
けれど思い出そうとしても、どうしてか記憶がぼんやりする。
健二の顔や、見た目や声などは思い出せるのに、彼とのセックスがどうだったかが思い出せない。
そのうち苦しくなってきて、香澄は大きな溜め息をついた。
「どうした?」
キュッとシャワーのコックを捻って、タオルで軽く髪の水気を取った佑が、湯船に足を入れ尋ねてくる。
「な、何でもありません」
彼のために場所を空けようとバスタブの隅に移動しようとすると、佑が「こっち」と言って抱き寄せてきた。
「わ……」
そのまま、香澄は佑に後ろから抱きかかえられた体勢で、バスタブに落ち着いてしまった。
ザバー……と溢れるお湯をつい「勿体ない」と思いつつ、佑が入れたジョン・アルクールのバスオイルの匂いを思いきり嗅ぐ。
「何か私、まともに愛される事を知らないんだと思います」
「うん、俺もだよ」
意外な言葉を聞き、香澄は思わず佑を振り向く。
「俺はまともな恋愛をしてこなかった。唯一向き合ってくれた女性も、俺がバカだったせいで離れていってしまった。だから今度は何があっても失敗したくない」
(色々……あったんだな。そりゃあ、三十二歳でこのスペックなら、女性経験が豊富でも当たり前か)
自分に言い聞かせながらも、ガッカリする自分がいて苦笑いしてしまう。
(嫉妬する権利なんてないんだから。私は佑さんの元カノみたいに、昔の彼を知らなかったし、同じスタートラインにいなかった。同じ舞台に上がってもいないんだから、嫉妬するだけ無駄)
「香澄」
考え込んでいた彼女に、佑が声を掛けてくる。
「は、はい」
「多分俺は、面倒臭い男だと思う。それでも、嫌な所があれば、言ってくれたら直すよう努力していきたい。香澄とずっと一緒にいたいから、何かあったら話し合おう」
「はい。……私も大概、面倒な女だと思いますが」
「はは、じゃあお互い様だ」
佑は香澄の首筋にキスをし、胸を手で包んできた。
背中には逞しい胸板の感触があり、全裸で密着していると再認識するとジワジワ恥ずかしくなってくる。
「参考までに、香澄は何が好き?」
「え?」
「好きな体位とか、舐められるのが好きとか」
「そっ、そんな! ありません!」
(なに聞いてきてるの!)
焦って声をひっくり返した香澄だが、佑は冗談を言ったつもりもなく素のまま続ける。
「俺は香澄と色んな事を体験したいけど、希望があるなら優先するから聞きたいなと思って」
「うう……考えておきます……」
「分かった」
チュッとこめかみにキスをされ、そのあとは逆上せかけるまでお湯に浸かりバスルームを出た。
バスルームを出たあと、佑は香澄にフェイスケアをさせ、そのあいだ香澄の体をバスタオルで拭き、顔用の化粧水を全身に塗っていく。
「知り合いの美容家さんが、体にもちゃんと化粧水してからミルクやクリームで保湿を、って言ってたんだ」
「美容男子ですか?」
「俺自身は身だしなみ程度の意識だけど、主に香澄のケアについて聞いたかな」
「う……うう……。ありがとうございます」
「大事なうさぎだから、大切に飼わないと」
「うさぎ!?」
何の事かと彼を振り向いた瞬間、桃の香りがするボディクリームをお尻に塗られて悲鳴が漏れた。
「っひぁんっ!」
「俺だけのバニーガールだろう?」
「そっ、それ……っ、引っ張ります!?」
「この辺に尻尾があったっけ」
尾てい骨の辺りをスワッと撫で上げられ、「ふあぁああぁ……っ」と情けない悲鳴が出た。
「可愛いな」
佑は笑いながら香澄の肌にボディクリームを塗り、それから一度手を洗って、彼女の髪に洗い流さないトリートメントを揉み込む。
「いっ、意地悪です!」
「いや、でも実際香澄の体にジャストフィットする、バニースーツを作ってるし……」
「えっ?」
ギョッとして鏡越しに彼を見るが、佑は意味深に微笑むだけで「冗談だよ」とは言ってくれない。
「そ、そんな……。もう八谷は辞めましたし、着る場所なんてありません」
「『プライベート・バニーガールバー 御劔』とか」
ニヤッと笑った佑は、手に持ったドライヤーのスイッチを入れて、香澄の髪を乾かし始めた。
(自宅でバニーガール接待ですか!?)
くわっと目を見開いて鏡越しに佑を見るが、彼は楽しそうに微笑んだままドライヤーをかけ続けるのみだ。
むぅ……と膨れる香澄を見ながら佑はドライヤーをかけ、やがて髪がサラサラになる。
「ありがとうございます……」
佑も自分の手入れをしてドライヤーをかけ始め、香澄はその隣でコソコソと寝間着のキャミソールとタップパンツを着る。
やはり横を向いて彼の準備が終わるのを待っていると、ドライヤーの音が止み、衣擦れの音がしたあと、後ろからギュッと抱き締められた。
「わっ!」
「香澄、一緒に寝よう」
自分の桃の香りとは違う、佑の男性らしいボディクリームの匂いがフワッと立ち上る。
風呂上がりで体温が高いからか、香りはより強くなっている気がした。
「さっきのバニーガールの、何ですか?」
「ん? 言葉の通りだけど」
佑は洗面所を出て、「水もらうよ」と香澄の部屋の冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを二本出した。
そのまま彼がソファに座ったので、香澄も向かいに座る。
「言っておきたいのは、バニーガールが好きで堪らないとか、特殊性癖じゃない」
「じゃあ……」
「香澄が着てるからに決まってるだろ?」
太腿に手を置かれ、香澄は緊張する。
「……お触りするんですか?」
赤面してポソッと尋ねた言葉に、佑が思わず噴き出す。
「香澄が触らせてくれるなら」
「うぅ……。検討しておきます……」
むくれたまま返事をすると、また佑が楽しそうに笑った。
その後、風呂上がりの火照りが抜けるまで会話をし、就寝は佑の寝室に向かってまた抱き枕になった。
何かされるのかドキドキしていたけれど、「平日は疲れさせたら悪いから」と言ってくれたので、多少緊張しつつも気が付けばスヤスヤと眠ったのだった。
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