幸せな家庭
「ごめん。今日保育園から電話があって、実が熱を出したみたいで迎えに行ったり、病院行ったり、バタバタしてたの」
お椀に味噌汁を入れながら亜子は言う。随分と疲れている様子だ。その足元に真奈はずっと引っ付いており、裕也の方を見ることもしない。
「そっか。まあ、洗濯物とかはご飯の片付けが終わった後にしたらいいよ。時間はたっぷりあるしさ〜」
裕也の言葉に亜子は何も返さない。すると、ベビーベッドの上でぐっすりと眠っていた実が突然火がついたように泣き始めた。
「あっ、どうしよ……」
亜子はまだ手が離せない様子で、少し焦っているように見える。熱い味噌汁などをまだ五歳の真奈に任せることはできない。裕也はグッと親指を立てて言った。
「赤ちゃんなんて泣くのが当たり前なんだから、少しくらい放っておいても大丈夫だよ。そっちのやることが全部終わってからでいいんじゃない?」
酷いDV夫ならばこういう時には、決まったように「早く泣き止ませろ!」と怒り狂い、妻に暴力を振るうだろう。しかし、裕也はそんなことは一切言わない。
お椀に味噌汁を入れながら亜子は言う。随分と疲れている様子だ。その足元に真奈はずっと引っ付いており、裕也の方を見ることもしない。
「そっか。まあ、洗濯物とかはご飯の片付けが終わった後にしたらいいよ。時間はたっぷりあるしさ〜」
裕也の言葉に亜子は何も返さない。すると、ベビーベッドの上でぐっすりと眠っていた実が突然火がついたように泣き始めた。
「あっ、どうしよ……」
亜子はまだ手が離せない様子で、少し焦っているように見える。熱い味噌汁などをまだ五歳の真奈に任せることはできない。裕也はグッと親指を立てて言った。
「赤ちゃんなんて泣くのが当たり前なんだから、少しくらい放っておいても大丈夫だよ。そっちのやることが全部終わってからでいいんじゃない?」
酷いDV夫ならばこういう時には、決まったように「早く泣き止ませろ!」と怒り狂い、妻に暴力を振るうだろう。しかし、裕也はそんなことは一切言わない。